「何度言っても伝わらない」「言葉がけを変えようとしても、どこから変えればいいかわからない」。
そう感じているママ・パパは、実は10人中8人くらいいます。
わたしも保育士として200人以上の子どもと向き合ってきたのに、自分の子には言葉がけがうまくいかなくて、何度も自己嫌悪に陥ったことがあります。
「専門家のくせになんで」って、布団の中で泣いたこともありました。
でも、そこから本気で研究して気づいたことがあります。言葉がけは「何を言うか」より「どう伝えるか」のほうが、ずっと大事なんです。
この記事では、今日から使える子どもへの言葉がけのコツを5つ、具体的な言い回しとともにお伝えします。
難しい心理学の話は一切しません。疲れて帰ってきたその日の夜から、変えられることだけを書きました。
子どもへの言葉がけ、なぜ「伝わらない」と感じるの?

子どもの脳はまだ「言葉の処理」が追いついていない
「言葉がけが伝わらない」と感じる背景には、子どもの脳の発達が関係しています。
3歳前後の子どもは、言葉の「意味」は少しずつ理解できるようになってきますが、複数の情報を同時に処理したり、感情をコントロールしながら言葉を受け取ったりすることが、まだとても難しい状態です。
「早くして!靴はいて!もう時間がない!」と一度に伝えても、子どもの頭には何も残らなかったりする。
それこそ、大人でも仕事中に上司から5つの指示を一気に言われたら、頭がパンクしますよね。子どもはその状態が「いつも」なんです。
3〜5歳の子どもに伝わる言葉がけは「1回に1つだけ」が基本。「〜して、〜して、〜して」と連続で伝えるのではなく、1つ終わったら次の言葉がけをする。
「言い方」ではなく「タイミング」がずれていることも多い
言葉がけが伝わらない原因のもう一つが、タイミングのずれです。
子どもが何かに集中しているとき、ご飯の前でお腹が空いてぐずっているとき、眠くて頭が朦朧としているとき。こういうシーンで言葉がけをすると、どんなに工夫した言い方をしても、なかなか届かなかったりします。
「言葉を変えたのに伝わらなかった」と感じたとき、実は「タイミングが悪かっただけ」というケースは思った以上に多いんです。
子どもが「聞ける状態」にあるかを確認してから話しかける。それだけで、言葉がけの成功率はぐんと上がります。
子どもへの言葉がけ5つのコツ。今夜から変えられること

コツ① 「〜しなさい」を「〜してくれると助かるな」に変える
言葉がけの中で最も変えやすくて、最も効果が出やすいのが語尾のチェンジです。
「早くしなさい」「着替えなさい」「食べなさい」。
この言い方、子どもにとっては「命令」として届いています。命令されると、大人でも反射的に反発したくなりますよね。子どもも同じで、「やりたくない」という気持ちに火がついてしまいやすい。
「早くしなさい!何回言ったらわかるの!」
「もうすぐ出発だから、靴を履いてくれると助かるな」
「〜してくれると助かるな」「〜してもらえると嬉しいな」という言葉がけに変えるだけで、子どもの受け取り方がガラッと変わります。
これは「お願い」の形なので、子どもが自分で「やってあげる」という選択をする余地が生まれます。自分で選んだと感じると、動きやすくなるんです。
保育士として200人以上の子どもに関わってきた中で、語尾を変えただけで動き出す子は本当に多かったです。
コツ② 行動を「見える化」する言葉がけにする
「ちゃんとして」「きちんとしなさい」。
この言葉、子どもには何も伝わっていないことがほとんどです。「ちゃんと」が何を意味するのか、子どもには本当に見えていないんです。
言葉がけが伝わらないと感じるとき、実は言葉が「抽象的すぎる」ことが原因だったりします。
たとえば「ちゃんと座って」ではなく、「お尻をイスにぴったりつけて、両手はおひざに置いてね」と伝える。「ちゃんと食べて」ではなく、「スプーンを右手で持って、ひとくち食べてみてね」と伝える。
行動を具体的に「映像で見えるように」言葉がけするのが、伝わる言葉がけの核心です。
子どもが動けないとき、「言うことを聞かない」のではなく「何をすればいいかわからない」状態のことも多いと知っておくと、声かけのアプローチが変わりますよ。
言葉がけを変える前に、自分の感情がコントロールできていない日もありますよね。そんなときは、毎日怒鳴ってしまうママへ。声かけを変える5つのコツもあわせて読んでみてください。
コツ③ 「できてないこと」より「できていること」を先に言葉にする
子どもへの言葉がけが「注意・指摘」ばかりになってしまうのは、多くのママ・パパが経験していることです。
それこそ、子育て中は1日に何十回も「ダメ」「やめて」「早くして」と言ってしまいがちみたいな現象が起きやすい。
でも、「できていること」をちゃんと言葉にしてあげることが、言葉がけの効果を何倍にも高めます。
「靴が自分で履けたね」「ごはん全部食べられたね」「妹に優しくできたね」。
こうした言葉がけの積み重ねで、子どもは「次もやってみよう」という気持ちになります。反対に、指摘や注意ばかりが続くと、「どうせまたダメって言われる」と感じて、やる気が下がってしまうことがあります。
1日1回でいいので、「今日できていたこと」を言葉にする習慣を作ってみてください。これが、子どもへの話しかけ方を変える一番の近道だと思っています。
子どもの気質別。伝わる言葉がけの変え方

感情が豊かで反応が大きいタイプの子への言葉がけ
同じ言葉がけをしても、長男には効くのに次男には全然効かない。子育てをしていると、そんな場面が出てきます。
これは子どもの気質の違いからきています。感情が豊かで反応が大きい子(いわゆる「感情先行型」)には、まず「気持ちを受け取る言葉がけ」を先にすることが大事です。
「嫌だったんだね」「びっくりしちゃったね」と気持ちを言語化してあげてから、次の行動を促す言葉がけをする。
この順番が逆になると——つまり、気持ちが高ぶっているときに「じゃあ〜してね」という行動指示を出すと——子どもは「わかってもらえない」と感じてさらに反発することがあります。
まず「受け取る」、それから「伝える」。この2ステップを意識するだけで、感情先行型の子への言葉がけは変わります。
マイペースで自分のペースを崩されるのが苦手なタイプへの言葉がけ
一方、のんびりマイペースな子や、切り替えが苦手な子には「予告の言葉がけ」が効きます。
「あと5分でごはんだよ」「もうすぐお風呂の時間になるね」という、事前の予告をすることで、子どもが「心の準備」をする時間を作ることができます。
突然「もう終わりにして」と言われると、頭が切り替わらなくてパニックになる子もいます。でも予告があれば、「次の行動へ移るスイッチ」が入りやすくなるんです。
「この子、話しかけ方を変えても全然違う」と感じたら、予告なしで急に行動を求めていないか、確認してみてください。
子どもの気質は大きく「順応しやすいタイプ」「慎重・感受性が高いタイプ」「活発・衝動性が高いタイプ」の3つに分類されると言われています。自分の子がどのタイプかを意識すると、言葉がけのアプローチが選びやすくなります。
朝・夜・食事シーン別。今夜から使える言葉がけの実例

バタバタしがちな朝の言葉がけ
「早くして!遅刻するでしょ!」が口癖になってしまう朝。
朝は大人も子どもも、まだ脳が完全に目覚めていない状態です。そのため、指示をいくら出しても動かない、という場面が起きやすい。
朝の言葉がけで一番効くのは「一緒にやろう」という言葉です。
「着替えを一緒にやろう」「歯ブラシ、持ってきてくれる?」と、子どもを「一緒にやる人」として巻き込む話しかけ方に変えると、「やらされてる感」がなくなって動き出しやすくなります。
朝は特に言葉がけの量を絞ること。1つのことが終わったら次の声かけ、というリズムを作ると、バタバタ感が減ってきます。
寝かしつけ前の言葉がけ
夜の言葉がけは、子どもの「今日の終わり方」を決める大切な時間です。
「早く寝なさい」「目を閉じなさい」という言葉がけより、「今日、〇〇ができたね」「明日は何して遊ぼうか」という話しかけ方のほうが、子どもは安心して眠りやすくなります。
寝る前の言葉がけに「今日よかったこと」を1つ入れるだけで、子どもの1日の締めくくりが穏やかになります。
忙しくてもこれだけは続けてみてほしい、と思う言葉がけ習慣のひとつです。
食事中の言葉がけ
「早く食べて」「全部食べなさい」「ちゃんと噛んで」——食事中の言葉がけが注意ばかりになってしまう、というお悩みはよく聞きます。
食事中の言葉がけで大切なのは「食卓を楽しい空間にすること」です。
「これ何色だろうね?」「今日のごはん、どのおかずが好き?」という、子どもが答えやすい言葉がけをすることで、食事の時間が「楽しい時間」になっていきます。
楽しい食卓が増えると、食べることへの意欲も自然と育ってきます。注意をゼロにするのは難しいけれど、「楽しい言葉がけ」を増やすことは今日からできます。
言葉がけを変えるのが難しい日もある。そんな自分への声かけも忘れずに

疲れている日は「最低限の言葉がけ」だけでいい
「言葉がけを変えよう」と思っても、疲れているときは本当に難しい。
仕事から帰ってきて、ご飯を作りながら、子どものぐずりに対応しながら、完璧な言葉がけなんてできなくて当然です。
そういうときは「最低限の言葉がけだけでいい日」と割り切ることも大事です。
「今日は疲れてる。でも、怒鳴らずに済んだ」それだけで十分。言葉がけを変えようとしている、その気持ちがすでに子どもに伝わっています。
10のうち3でも変えられたら、それは100点です。
NG言葉がけをしてしまったときの修復の声かけ
怒鳴ってしまった。キツい言い方をしてしまった。そういうことは、どんなに気をつけていても起きます。
大事なのは、その後の言葉がけです。
「さっきは大きな声出してごめんね。ママ(パパ)も疲れてた。あなたのことが大切だから、ちゃんと伝えたかったんだ」
こうした修復の言葉がけを積み重ねることで、子どもは「怒られてもまた仲直りできる」「大切にされている」と学んでいきます。
完璧な言葉がけより、失敗してもちゃんと向き合う親の姿が、子どもの安心感を育てます。
言葉がけの中でも「ほめ言葉」に特化した内容が知りたい方は、子どもの褒め方がわからないママへ。自己肯定感が育つほめ言葉もぜひ読んでみてください。
まとめ:今日から始める子どもへの言葉がけ

今回は、子どもへの言葉がけが伝わらないと感じたときに試してほしい5つのコツをまとめました。
- 「〜しなさい」を「〜してくれると助かるな」に変える
- 行動を「見える化」する具体的な言葉がけにする
- 「できていること」を先に言葉にする習慣をつける
- 子どもの気質に合わせた話しかけ方を選ぶ
- シーン別の言葉がけを少しずつ変えていく
全部を一度に変える必要はありません。まず1つ、今日の夜から試してみてください。
保育士として200人以上の子どもを見てきたわたしが言えることがあるとしたら、言葉がけを変えようとしているママ・パパの子どもは、ちゃんと愛情を受け取っている、ということです。
うまくいかない日があってもいい。また明日試せばいい。
あなたの言葉がけが、少しずつ子どもに届くその瞬間を、わたしも応援しています。
うちの子は、なぜ言うことを聞いてくれないの?
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