「早くして!」「何回言えばわかるの!」
そう叫んでしまった後、静かになった子どもの顔を見て、胸が痛くなる。
そんな夜が続いているなら、今日の記事はきっとあなたのためのものです。
実は、子どもが動かない原因の9割は「言葉の選び方」にあるんです。怒鳴るから動かないのではなくて、声かけのタイミングと言い回しがズレているから、子どもの脳に届いていないだけだったりするんですよね。
わたし自身、保育士として8年間・200人以上の子どもと関わってきました。でも正直に言うと、自分の子どもが生まれた途端、全部崩れました。息子が朝ぜんぜん動かなくて、毎日同じ怒鳴り声で1日を始めていたんです。「保育のプロなのに、なんで…」って、本当に自分を責めていました。
そこから試行錯誤して気づいた、子どもが自分から動き出す「声かけの言葉」を今日はお伝えします。専門用語ゼロ。今夜から使えることだけ。
なぜ「早くして!」は子どもに届かないのか

まず、根本から整理しておきたいんですが——なぜ何度言っても伝わらないのか、知っていますか?
これ、保育士時代に先輩から教わって「そういうことか!」と膝を打ったんですが、3〜6歳の子どもの脳は「命令語」を処理するのが苦手なんです。
「早くして」「ちゃんとやって」「いい加減にして」——これ、全部「命令語」なんですよね。
子どもの脳からすると、命令語を聞いた瞬間に「言われた内容を実行する回路」よりも先に、「防衛反応の回路」が動き出しちゃうんです。だから怒鳴れば怒鳴るほど、子どもはフリーズしたり反発したりしてしまう。
「命令」と「声かけ」の違いを理解する
命令語と声かけの違いは、シンプルに言うとこうです。
「早くして!」「ご飯食べなさい!」「靴はきなさい!」「早く!早く!早く!」
「靴、どっちの足から履く?」「あと何口食べたら終わりにする?」「3秒で靴が履けたらすごいね、やってみる?」
命令語は「やれ」という一方通行。
声かけは「一緒に考えよう」という双方向です。
子どもが「自分で決めた感覚」を持てると、不思議なくらいスムーズに動き始めます。これ、10人中8人くらいの子どもに効果があったりするくらい、現場でも実感してきました。
「怒鳴ってしまうサイクル」から抜け出すために
怒鳴ってしまうサイクルには、わかりやすいパターンがあったりします。
・“スルーされた積み重ね”
→ 最初は優しく声かけ→無視される→声が大きくなる→怒鳴る。このエスカレートが繰り返される
・“時間プレッシャー”
→ 朝の出発時間・寝かしつけのリミット。焦りが声のトーンに直結してしまう
怒鳴りたくて怒鳴っているわけじゃない。それはわたしも同じでした。だからこそ、最初の声かけの「言葉の選び方」を変えることが、サイクルを断ち切る一番の近道なんです。
怒鳴り声を減らすヒントをもっと知りたい方は、毎日怒鳴ってしまうママへ。子どもへの声かけを変える5つのコツもあわせて読んでみてください。
子どもが動き出す声かけ、魔法の言葉4つ

では実際に、どんな言葉を使えばいいのか。わたしが保育士時代から使い続けて、自分の子どもにも試して「これは本当に効く」と思ったものだけを厳選しました。
あき(28歳)
毎朝「早くして!」って言っちゃうんですが、声かけを変えるって言っても何を言えばいいのか全然わからなくて…
なつき
大丈夫です!一言変えるだけでいいんです。今日紹介する4つの言葉、まず1つだけ明日の朝に試してみてください。
①「どっちにする?」——選択権を渡す
子どもはとにかく「自分で決めたい」生き物です。これ、保育現場でも毎日実感してきました。
「靴はきなさい」→「靴、右から履く?左から履く?」
「ご飯食べなさい」→「にんじん先に食べる?それともお肉から?」
「早くお風呂入って」→「お風呂のお湯、熱め派?ぬるめ派?」
どちらを選んでも親が望む行動に繋がるように設計しておく。これが「選択肢の声かけ」の使い方です。
子どもが「自分で選んだ」と感じた瞬間、動くことへの抵抗感がゼロになります。
我が家の息子は「右から?左から?」と聞くようにしてから、靴のトラブルがほぼなくなりました。それこそ、「え、なんで急にスムーズに?」ってなるくらい(笑)。
②「あと〇回で終わりにしよう」——終わりを見せる
子どもが動けない理由のひとつが「いつ終わるかわからない」という不安です。
大人でも終わりの見えない仕事はしんどいですよね。子どもも全く同じなんです。
「もうちょっとで終わりよ」はNG。
「あと3口食べたら終わり」「あと1回遊んだらお風呂入ろう」と具体的な数字で終わりを見せるのがポイントです。
特にゲームやテレビをやめさせるとき、「あと5分ね」より「あと1回戦ったら終わり」のほうが断然スムーズだったりします。数字より「区切り」のほうが子どもの納得感が高いんですよね。
「あと〇回」「あと〇口」「あと〇分」——必ず数字か具体的な区切りを使う。「もうちょっと」「そろそろ」はNG。子どもに通じる言葉は「見える終わり」です。
③「〇〇したら、〇〇できるよ」——楽しい未来を見せる
これ、保育士時代に200人以上の子どもに使って、成功率が最も高かった声かけです。
「早く準備しないと遅刻するよ」ではなく——
「準備できたら、公園で砂場できるよ!」
「ご飯食べたら、一緒にアイス食べようか」
「お片づけできたら、絵本3冊読もうか」
脅し・マイナスの未来ではなく、ワクワクするプラスの未来を見せるのがポイントです。
人間は「避けたいもの」より「手に入れたいもの」のほうが行動力が上がると言われています(正確にはもっと差があるくらい)。子どもも全く同じなんですよね。
④「見ててね、すごいとこ見せて!」——得意感を引き出す
子どもが動かないとき、実は「自信がない」「うまくできるか不安」が原因なことも多いんです。
「どうせうまくできないからやりたくない」ではなく、「得意感」をくすぐってあげると動き出します。
「靴、ひとりで履けるかな〜?お母さん見ててね!」
「このお片づけ、〇〇ちゃんが一番上手にできるんだって!」
「ちょっと難しいかな?でも〇〇なら絶対できると思うな」
「見ててね」という一言が、子どもの「やってみよう」スイッチをONにします。
娘(3歳)がお着替えをぐずるとき、「ママ、すごいとこ見せて!って言って」と言うだけでニコニコしながら着替え始めるんです。これ、何回やっても効くんですよね(笑)。
声かけが効きにくい「場面別」のコツ

魔法の言葉を知っても「うちの子には効かない…」という場合、実は「場面のズレ」が原因だったりします。
声かけが効きやすい場面と効きにくい場面があるんです。
朝の準備で使える声かけ
朝は特に難関ですよね。時間的プレッシャーがあるから、声が自然と命令口調になっちゃう。
朝の準備で意識してほしいのは、「前日の夜に声かけの布石を打っておく」こと。
寝る前に「明日の朝、何食べたい?」と聞いておくだけで、翌朝「食べたいって言ってたやつ、用意したよ!」が使えます。子どもが「明日の朝が楽しみ」という状態で起きてくるんです。
また、「朝の声かけルーティン」を決めておくと親も楽になります。
例えば:「おはよう→今日のご飯は〇〇だよ→着替えは自分でどっちのTシャツにする?→準備できたら出発!」
毎朝同じ流れにすることで、子どもの脳が「次は着替えの番だ」と自動的に理解し始めます。これ、1週間続けると変わってくるくらいの効果があります。
食事・お風呂・就寝でそれぞれ使えるフレーズ
場面別に「これだけ覚えておけばOK」なフレーズをまとめます。
- 【食事】「あと何口で完食?自分で決めて!」(選択権を渡す)
- 【お風呂】「湯船に沈める宝物を1個だけ持っていっていいよ」(楽しい未来を見せる)
- 【就寝】「3分で目をつぶれたら記録更新だね。見ててね!」(得意感を引き出す)
- 【片づけ】「このおもちゃたちを全員お家に帰してあげて!」(キャラクター化)
特に就寝前は子どもも疲れていて、声かけが効きにくい場面です。「3分チャレンジ」のようにゲーム化するだけで、驚くほどすんなり目をつぶってくれたりします。
子どものタイプ別、声かけの調整ポイント

ここからは少し応用編です。
同じ声かけをしても「この子には効くのにこの子には全然効かない」という現象、経験ありませんか?
それこそ、同じ言葉でもタイプによって全然響き方が違うみたいな現象が起きやすいんです。
ゆかり(31歳)
長男には「お兄ちゃんだから自分で!」が効くんですが、次男には全然…。タイプ別ってどう見分けるんですか?
なつき
大きく分けると「ほめると伸びるタイプ」と「理由を知りたがるタイプ」の2種類です。日頃の反応を見るとすぐわかりますよ!
「ほめると伸びる」タイプへの声かけ
ほめると伸びるタイプの子は、「すごい」「さすが」「さっすがー!」という一言で行動スイッチが入ります。
特徴としては:
・誰かに見ていてほしがる
・褒められるとすぐニコニコする
・「お兄ちゃん/お姉ちゃんだから」という言葉が刺さりやすい
このタイプには、行動の「前」にほめるのが効果的。「〇〇ちゃんならできると思うな〜」と期待を先に伝えることで、「その期待に応えたい」という気持ちが動き出します。
保育士時代、このタイプの子には「ちょっと難しいかもしれないけど、〇〇くんなら絶対できるよ」という声かけを意識的に使っていました。200人以上見てきた中で、このフレーズで動かなかった子は10人中1人いるかいないかくらいです。
「理由を知りたがる」タイプへの声かけ
このタイプは、「なぜやるのか」がわからないと動けない子どもです。
「早くして」では全く動かないのに、「ちゃんと準備しないと電車に乗り遅れて〇〇に行けなくなるよ」と理由をセットにした途端、スッと動き出す——そういうタイプです。
特徴としては:
・「なんで?」が口癖
・命令を嫌がる
・「〜すると〜になる」という因果関係の説明に納得しやすい
このタイプへの声かけは「理由+行動」のセットが基本です。
「今準備しておくと、公園で1番長く遊べるよ」
こんなふうに、「なぜ今やる必要があるのか」を先に見せてあげると動き出します。
子どものタイプは固定ではありません。疲れているときや体調が悪いとき、普段「ほめると伸びる」タイプでも反応が鈍くなることがあります。「今日は効かないな」と思ったら、タイプが変わったのではなく状態が違うだけ。柔軟に対応してみてください。
声かけを変えるとき「親自身の状態」も整える

ここで少しだけ、親側の話をさせてください。
声かけの言葉を変えても、親自身が限界の状態では正直難しいんです。
「わかってる。でも余裕がない」——そのままでいいんです。余裕がないことは、あなたの弱さじゃない。
「声かけを変える余裕」をどう作るか
わたしが実際にやってみて効果があったのは「怒鳴りそうになる前に一呼吸置く仕組み」を作ることでした。
たとえば:
・子どもに声かけをする前に、心の中で「声かけスイッチON」と一言言う
・怒鳴りそうになったら、その場で3秒だけ口を閉じる
・今日使う声かけを1つだけ決めておく(朝なら「どっちにする?」だけでOK)
全部を一度に変えようとしなくていいんです。
今日は1つだけ、「どっちにする?」を朝の着替えで使ってみる。それだけでいい。少しずつ積み重ねていくことで、気づいたらサイクルが変わっていたりします。
「完璧なママ」を目指さなくていい
保育士として働いていたころ、保護者から「先生はいいですよね。子どもへの接し方が上手で」と言われることがよくありました。
でも自分の子どもには怒鳴っていた。これが現実でした。
「うまくやらなきゃ」という気持ちが焦りを生んで、焦りが怒鳴り声につながる——そのサイクルに自分自身がはまっていたんです。
完璧な声かけができなくても大丈夫。1日のうち1回、「今日はうまくできた」と思える声かけがあれば、それで十分なんですよね。
ときにはママ自身が一人の時間を持つことも大切です。産後の髪のケアや美容院でのリフレッシュが「声かけの余裕」につながることも。忙しいママのためのヘアケア情報はこちらもあわせてどうぞ。
子どもが動いてくれないとき、頑張っているのはあなた自身です。その声かけを変えようとしているだけで、もう十分すごいんですよね。
声かけを変えてみようとするその姿勢が、必ず子どもに届きます。
まとめ:今夜から使える声かけの魔法の言葉4つ

- 「どっちにする?」——選択権を渡す(右から?左から?)
- 「あと〇回で終わりにしよう」——具体的な数字で終わりを見せる
- 「〇〇したら、〇〇できるよ」——楽しい未来を先に見せる
- 「見ててね、すごいとこ見せて!」——得意感を引き出す
今日紹介した4つの声かけは、全部「子どもの脳の仕組み」に合った言葉の選び方です。
怒鳴りたくて怒鳴っているママは一人もいない。それはわたしが保育現場で見てきた200人以上の子どもの親御さんたちが証明してくれています。
明日の朝、「どっちにする?」を一言だけ試してみてください。
その一言が、怒鳴り声のない朝の第一歩になります。
声かけを変えることで子どもとの関係が少しずつほぐれていく——そのそばに、わたしもいます。
毎日の声かけをもっと変えたい方は、毎日怒鳴ってしまうママへ。子どもへの声かけを変える5つのコツもぜひ読んでみてください。声かけのパターンをさらに広げられます。
この記事を読んで「もっと詳しく知りたい」と思ってくださった方へ。タイプ別の声かけシート・朝の準備に特化した声かけ一覧など、より実践的なコンテンツをこちらのNote記事でまとめています。ぜひのぞいてみてください。
著者:山本なつき
元保育士(8年・200人以上担当)×2児ママ(息子5歳・娘3歳)。「保育のプロなのに自分の子に怒鳴ってしまった」経験からタイプ別声かけを研究。専門用語ゼロ、今夜から使えることだけを発信しています。
うちの子は、なぜ言うことを聞いてくれないの?
子どもへの「届く声かけ」は、生まれ持った気質タイプで一人ひとり違うのかもしれません。かんたんな質問に答えるだけで、あなたの子の傾向と“今日からできる声かけ”のヒントが見られます。
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